【第5回】Obsidian をメディアライブラリにする——動画・PDF・読書を横断管理
Media Notesで時間付きコメント、PDF注釈のノート化、章単位の読書進捗管理。Obsidianが統合メディアライブラリになる
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前回は、比較ノートの話をしました。唐揚げの動画ノートを 5 本並べて、共通点と相違点を整理する。「この人のやり方」が「唐揚げの原理」に変わっていく感覚がある、という話でした。
その記事の末尾で「Obsidian に保存するものが、動画だけではなくなってきました」と書きました。今回はその話をします。
動画ノートの運用が安定して、保存→整理→検索→記録→比較の流れが自然にできてきた頃のことです。ある日、スムージーに関する技術書を読み返そうとしました。
「ビタミンCの吸収に関する話が第何章かに書いてあったはずなんだけど、どこだっけ」
本棚から取り出してページをめくってみましたが、なかなか見つかりません。この感覚、どこかで覚えがありました。
——そう、第 1 回で「あの唐揚げの動画、どこだっけ」と悩んでいた、あのときとまったく同じです。
「だったら、動画でやったのと同じことをやればいいんじゃないか」
PDF もノートにしてみた
Obsidian には、PDF をそのまま開いて表示する機能があります。ノートの横に PDF を表示させながら、読みながらメモを取れます。
さらに、コミュニティプラグイン——Obsidian 本体ではなく、ユーザーが開発・公開している拡張機能のこと——を使うと、PDF の特定の行にハイライトやコメントを付けて、その内容を Obsidian のノートに取り込めます。
これは第 3 回で紹介したタイムスタンプメモと同じ発想です。動画では「5:10 二度揚げの温度」と記録しました。PDF では「p.42 水溶性ビタミンの特徴」のように、ページ番号つきでメモを残します。タイムスタンプがページ番号に変わっただけで、やっていることの構造は変わりません。
実際に作ったノートはこんな内容です。
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title: "基礎栄養学 第3章"
type: book
book_title: "やさしい基礎栄養学"
chapter: 3
status: done
tags:
- 栄養学
- ビタミン
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## 注釈メモ
- p.42 水溶性ビタミン(B群・C)は体内に蓄積されにくい。毎日の摂取が重要
- p.45 脂溶性ビタミン(A・D・E・K)は油と一緒に摂ると吸収率が上がる
- p.48 ビタミンCは加熱で壊れやすい。生食かスムージーが効率的
## 気づき
- スムージーはビタミンCの摂取に向いている構成だった
- 油脂を入れる理由がここで繋がった(脂溶性ビタミンの吸収)
YAML フロントマターに chapter: 3 や status: done を書いているのは、動画ノートに rating: 4 や attempted: true を書いていたのと同じです。情報の種類が変わっても「ノートにデータを付けて、後から使いやすくする」発想は変わりません。
このノートを作ったとき、あの本のあの部分が検索できる形になった、という感覚がありました。「どこだっけ」がなくなったのです。
本を章ごとに管理する
PDF ノートを作り始めると、次に気になることが出てきました。1 冊の本をまとめて読もうとすると、途中で止まってしまうことです。
仕事の合間に少しずつ読んでいると、3 日後に開いたときに「第 2 章だったか、第 3 章だったか」と迷う。最初から読み直すのも気が重い。「読みかけのまま」の本だけが増えていく。
そこで、章ごとにノートを作ることにしました。1 章=1 ノート。動画で「1 動画 1 ノート」としていたのと同じ考え方です。粒度を揃えて、状態を付ける。やっていることは変わりません。
各ノートの YAML に status: done や status: reading を書いておくと、Dataview で一覧が作れます。
table chapter as "章", status as "状態"
from "Books/やさしい基礎栄養学"
sort chapter asc
これだけで「この本のどの章を読み終わって、どの章がまだか」が一目でわかります。
第 2 回でやった「リピ確定レシピの一覧」も、attempted: true と rating: 4 を条件に動画ノートを絞り込むものでした。今回は status: done を使って読んだ章を確認しています。書き方は違いますが、やっていることはまったく同じです。
ノートを開くたびに「次はどの章か」が迷わなくなりました。再開するときの心理的なハードルが下がって、積読が少しずつ減ってきました。
Obsidian がメディアライブラリになっていた
気がつくと、Obsidian の中に動画ノート、PDF ノート、読書ノートが並んでいます。フォルダの全体はこんな構成になっていました。
Vault/
├── YouTube/
│ ├── レシピ/
│ │ ├── 揚げ物/
│ │ └── スープ/
│ └── IT/
│ ├── NetworkChuck/
│ └── クロノITチャンネル/
├── Books/
│ ├── やさしい基礎栄養学/
│ │ ├── 01_chapter1.md
│ │ ├── 02_chapter2.md
│ │ └── 03_chapter3.md
│ └── スムージーの教科書/
├── 比較ノート/
│ ├── 唐揚げ比較メモ.md
│ └── ビタミン摂取法まとめ.md
└── 音楽/
├── 作業用/
└── リラックス/
メディアの種類はバラバラです。でも、やっていることの構造は変わっていません。
- 保存する(ノートを作る)
- 整理する(フォルダ、YAML)
- 検索する(Dataview)
- 記録する(タイムスタンプ、PDF 注釈)
- 比較する(並べて共通点を見つける)
動画でうまくいったやり方が、そのまま PDF でも読書でも使えました。新しいツールを学んだわけではありません。第 1〜4 回で積み上げてきたことを、別のメディアに当てはめただけです。
Obsidian は「動画メモアプリ」ではなく、いつの間にか「メディアライブラリ」になっていました。YouTube の動画も、技術書の PDF も、読みかけの本の章メモも、1 つの場所にまとまっています。
それぞれのメディアで「どこだっけ」が消えたとき、Obsidian が単なるメモアプリを超えていることに気がつきました。
次の記事では
ここまで、動画・PDF・読書と、メディアの種類が広がってきました。でも Obsidian でやれることは「見たものを保存して整理する」だけではありません。
最近、私はご飯を炊くたびに条件をノートに記録しています。浸水時間、水の量、炊飯モード、そして食べた感想。これを Dataview で一覧にすると、「どの条件がおいしかったか」が見えてきます。
次の記事では、Obsidian が「実験ノート」になっていく話をします。