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【第19回】開発担当 Claude Code に聞いてみた Vol.3——漫画エディタから LINE スタンプが生まれた日

AI漫画エディタ manginus のエクスポート機能が充実。PDF コンビニ印刷、EPUB3 電子書籍、コマ単位 PNG。そしてコマエクスポートから LINE スタンプ制作パイプラインが誕生するまでの話

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前回のインタビューから約3週間。manginus の開発担当 Claude Code が「スタンプ販売開始しました」と言ってきた。

漫画エディタで LINE スタンプ? 聞いてみた。


漫画エディタからスタンプ?

記者: manginus って漫画を作るツールですよね。なぜスタンプ?

開発者: エクスポート機能を拡充していく中で、偶然たどり着いたんです。最初はそんな予定まったくなかった。

記者: 順番に聞かせてください。エクスポート機能って、最初は何があったんですか?

開発者: 最初は PNG エクスポートだけでした。ページ単位で画像を出す。漫画を描いて、画像にして、SNS に投稿する。それだけ。

記者: そこからどう広がったんですか?

開発者: まず PDF が欲しくなった。「描いた漫画を印刷したい」と。


セブンのマルチコピー機で縁が切れた

記者: PDF エクスポートは順調に?

開発者: 実装自体はシンプルでした。PNG を img2pdf で結合するだけ。問題は印刷してから起きた。

記者: 何が起きたんですか?

開発者: セブンイレブンのマルチコピー機で B5 印刷したら、コマ枠の端が切れたんです。

記者: ああ、印刷の余白問題。

開発者: マルチコピー機には左右に約 4mm の印刷不可領域がある。PDF をぴったりのサイズで作ると、その分だけ切れる。これはスペック上そうなっていて、避けようがない。

記者: どう解決したんですか?

開発者: margin_mm パラメータを追加しました。B5 で印刷するなら margin_mm=5 を指定すると、画像を一回り小さくして中央に配置する。5mm あればセブンでも安全に印刷できる。

記者: 実機で試さないとわからない類の問題ですね。

開発者: まさにそう。エミュレータでは再現できない。コンビニに行って、100円入れて、出力を見て、「あ、切れてる」ってなって初めてわかる。


EPUB3——電子書籍としての配布

記者: 次に EPUB3?

開発者: はい。漫画の配布形式として PDF は便利ですが、スマホの読書アプリで快適に読むなら EPUB3 のほうがいい。ページめくりの方向(右綴じ・左綴じ)も指定できる。

記者: 日本語漫画は右綴じですよね。

開発者: デフォルトは右綴じです。--ltr オプションで左綴じにもできる。実装は PNG をメタデータと一緒にパッケージングするだけですが、EPUB3 の仕様に合わせるのに少し手間がかかりました。


コマエクスポート——想定外の使い道

記者: コマ単位のエクスポートはどういう経緯で?

開発者: 最初はインスタ投稿用でした。漫画のコマを1枚ずつ画像にして、カルーセル投稿したいという需要です。

記者: うまくいきましたか?

開発者: 半分。問題は、漫画のコマってはみ出すんです。

記者: はみ出す?

開発者: 吹き出しがコマ枠からはみ出す、キャラの手がコマの外に出る、エフェクトが隣のコマにかかる。これが漫画の表現なんですが、コマ単位で切り出すと、はみ出した部分が不自然にカットされる。

記者: なるほど、漫画特有の問題ですね。

開発者: インスタのカルーセルに使うには、コマ単位のエクスポートだけでは不十分でした。結局ページ全体の画像のほうがいい。じゃあこの機能はお蔵入りか……と思っていたら、別の用途が見つかった。

記者: LINE スタンプ?

開発者: そう。スタンプは1枚1枚が独立した画像で、コマ枠のはみ出しという問題がそもそもない。キャラが1人ポーズをとっている絵——これはまさにコマ単位エクスポートの出力そのもの。


スタンプ制作パイプライン

記者: 具体的にどんなフローですか?

開発者: こうです:

  1. manginus でコマごとにキャラ画像を NanoBanana(Gemini)で一括生成
  2. export panels --transparent で背景透過 PNG 出力
  3. rembg(ComfyUI 経由)で背景を除去
  4. stamp-text スキルでスタンプ用のテキストを合成
  5. LINE クリエイターズマーケットの仕様(370×320px 等)に合わせてリサイズ

記者: 全部 manginus の機能で?

開発者: rembg は ComfyUI 経由ですが、manginus の API から呼べます。テキスト合成も manginus のスキルとして実装してある。制作者がやるのは、プロンプトを書く、生成結果を確認する、テキストの内容を決める——クリエイティブな判断だけです。

記者: 24種のスタンプを、何時間で作れましたか?

開発者: 画像生成に一番時間がかかりますが、キャラの参照画像が揃っていれば、1日で24種出せます。もちろん気に入らなければリテイクしますが、NanoBanana は1枚数秒なのでイテレーションが速い。


単行本化——プロジェクトをまたぐ

記者: エクスポートの話でもう一つ。単行本機能があるとか。

開発者: import-pages です。manginus では各エピソードを個別のプロジェクトとして制作しています。EP01、EP02……とプロジェクトが分かれている。単行本を作るときは、各プロジェクトから必要なページを引っ張ってきて、1つのプロジェクトにまとめる。

記者: ページ範囲も指定できる?

開発者: --pages 0-11 で特定ページだけ、--insert-at 5 で挿入位置も指定できます。ここで活きるのがコラムノードです。


コラムノード——漫画に文章を混ぜる

記者: コラムノードというのは?

開発者: Markdown や HTML をそのまま流し込める特殊なノードです。漫画のページの中に、テキストコンテンツを配置できる。

記者: 用途は?

開発者: 単行本のコラムページ、キャラ紹介、あとがき、目次。エピソード間に挟んで付加価値をつける。漫画雑誌の単行本って、おまけページがあるじゃないですか。あの感覚です。

記者: Markdown で書けるなら、技術者にはうれしいですね。

開発者: シンプルな文章は Markdown で、凝ったレイアウトが必要なら HTML を直接書ける。HTML パーサーがそのまま通すので自由度は高い。縦書き・横書きも切り替えられます。


スタンプ、販売開始

記者: 最後に。スタンプ、本当に販売開始したんですか?

開発者: はい。2026年4月13日、「トレバ!のり子ちゃん スタンプ」として LINE クリエイターズマーケットで販売開始しました。

記者: 「トレバ」?

開発者: 「トレードバージン」の略称です。……バージンってちょっと恥ずかしくて。

記者: ……バージンロード、エクストラバージンオリーブオイル、普通の単語ですよ。

開発者: その会話、そのまま記念の4コマ漫画にしました。

記者: 抜かりないですね。

特別回「LINEスタンプ販売記念」を読む

トレバ!のり子ちゃん スタンプ(LINE STORE)


manginus は MCP ネイティブな漫画エディタサーバー。画像生成から印刷用PDF、電子書籍、LINE スタンプまで——漫画を「作る」だけでなく「届ける」ところまでを1つのツールでカバーする。